【寄稿】ファッションは人生の彩り

鳥居 百舌さん インフルエンサー・モデル・Mary代表

鳥居百舌(とりい・もず)さんは、SNSで活躍するインフルエンサーです。車いすや装具を使用しながら、自分らしくおしゃれに服を着こなしている姿を発信されています。また、モデル、障害のある子どもの古着ファッションショーの開催、共同代表として会社『Mary(メアリー)』の立ち上げをするなど、幅広く活躍されています。

本記事では、お母さまとのファッション体験や日常の工夫、デザイン性と機能性の両立について、当事者や家族、企業・支援者へのメッセージと、誰もが楽しめる服のあり方についてご寄稿いただきました。


私はインフルエンサーとして活動させていただいております、鳥居百舌です。私は脊髄髄膜瘤と総排泄腔外反症という難病をもつて産まれました。今まで何度も手術や入院し、現在も治療中で闘病しながら活動を行っています。2022年にクラウドファンディングを達成し、2023年3月に個人事務所兼障害者の洋服や困ったことに関してのものを開発する会社を起業しました。

赤い着物姿で赤色の和傘をさし黒のブーツ姿で車いすに座る鳥居さんの写真
ロシア帽と黒いトレーナーとショートパンツを着用して、両足に装具をつけた鳥居さんの写真
白い帽子と黒の厚手のジャケットを羽織り、白いスカートと黒いロングブーツを着用して、車いすに座る鳥居さんの写真

2023年の5月に障害のあるアンダー20だけによる古着を使ったファッションショー “サステクルーシブコレクション”を群馬県太田市で開催しました。「サステクルーシブコレクション」はSustainable(持続可能)とInclusive(包括的な)を合わせた造語です。こちらもクラウドファンディングを達成し開催に至りました。

ファッションショーにおいて、装具を付けた状態で会場の中央を歩く鳥井さんの写真。左右には椅子に座ったギャラリーの方々がたくさんいて拍手しています。
ファッションショーにおいて、装具を付けた状態で会場の中央(ランウェイ)も立つ鳥井さんの写真。左右には椅子に座ったギャラリーの方々がたくさんいて拍手しています。
ファッションショーにおいて、装具を付けた状態で会場の中央(ランウェイ)に立ち、ショルダーバッグを前面に回した状態の鳥井さんの写真。左右には椅子に座ったギャラリーの方々がたくさんいて拍手しています。

サステクルーシブコレクション開催に至る経緯は、2022年より本格的にSNSで活動し始めフォロワーが増えてきたころ、企業様からご依頼がくるようになりました。その中で『モデルをやりませんか?』というご依頼がきました。私は嬉しくなりすぐに「車椅子で障害もありますが問題ありませんか?」とお返事しました。ご依頼主様から「このお話はなかったことで」と返ってきました。

私はSNSを本格始動した時から障害を隠さず活動してきて、こちらもそれを理解しての依頼だと思っていたのでショックでした。そのショックが糧になり、その後は自らモデル募集に応募しましたが、“車椅子や障害のある方は前例がない”“危ない”などが理由で断られてしまいました。その悔しさから私の年齢よりも下の方が私のような経験をしてほしくないと思い、このサステクルーシブコレクションを開催することにしました。

その後は治療をしながら色々な活動をしていましたが、2024年は入院が増え活動としてはSNSや企業様からご依頼を受けるものがほとんどとなっています。

当事者家族へ

私の母は元アパレル店員で服が好きだったため流行りも理解し、私が小さい頃から手ごろな価格で他のコと被らない服を選んでくれたので友達にも褒められることがありました。母は①デザイン➁機能性(私の障害に配慮したもの)③第三者目線という3点を念頭に置き選んでいたようです。

①のデザインですが、妥協せず流行りを取り入れたり、古着を生かして個性的にしたりとあまりお金をかけずに選んでいました。

➁の機能性に関しては、私の体に配慮して着られ、特に下半身に関してウエストは一部でもゴムのものや装具を履いていると、ロングボトムは中々履きづらいので短いボトムになり冬は寒くて装具の金属でしもやけになりやすい。膝から下が健常者より異様に細いので、装具の中にニーハイソックスで、装具の外には寒さと足のバランスをとるためにかわいいレッグウォーマーを合わせたりと色々考えてくれました。

③の第三者目線ですが、“自分の子だから何着てもかわいい”とかではなく、第三者が見てもかわいいと思うものを条件に選んでいました。あと、周り(第三者)の差別視が少しでも減り私が嫌な思いをしないよう、障害があるから地味にということではなく、周りの人から障害よりもファッションに目がいくようにということも考えてくれていたようです。

足に装具をつけ、車いすに乗った子幼少期の鳥居さんの写真
足に装具をつけ、背中に蝶の羽根の飾りをつけて、芋虫のオブジェにまたがる幼少期の鳥居さんの写真
装具の上に被せるレッグウォーマーを着用している様子

私は大人になり、障害のある子の親から地味でいい、目立たなくていいということをよく聞く機会がありました。でも、かわいいものやかっこいいもの、カラフルなものは着ているだけでも気分が上がるし、どこかに出掛けたい、人に見てほしいと思い、脳にもいい刺激にもなり表情や性格も豊かになると思います。

障害も症状は幅広くありますが当事者が選べないというご家族で洋服を選ぶ方に関して、ファッションも重視したいという方がいるのなら、家族であるがゆえに特に一番気づきにくい③の第三者目線を念頭にいれ選ぶことを考えて選んでみてはいかがでしょうか。

当事者へ

障害はさまざまですが、障害があるからって着たいものを諦めるという時代ではなくなってきているので、自分が着たいものを着てもいいと思います。

今は色々な会社から障害に考慮した洋服もたくさん出てきているし、そもそも考え方次第ではあなたの身の回りでも着られるものはたくさんあります。自分の着たい服を着ることで、その服が外に連れ出してくれて、楽しい場にも連れて行ってくれて、たくさんの出会いも生まれます。その出会った方が、今後あなたの力になってくれたり、あなたが力になることもあります。

もし幼少期に目立たないようにとされていた方がいて、着たい服があるのに今も我慢をしているというなら一度挑戦してみませんか。挑戦しても自分としていい結果が得られなかったらそれはその時に考えればいいと思います。

研究者・支援者へ

現在さまざまな企業様から障害や多様性によりそったブランドが出ています。やっと時代が追い付いてきていて、私にはとてもいい波だと思っています。機能性がいいものはもちろん、デザイン性がいいものも出ています。

ただ、障害の事情により、お金がかかる人とかからない人がいて、障害でお金がかかる人に関しては、今世の中に出ているものの金額はかなり敷居が高いです。

元々素材に配慮したものを多く手掛け、価格もリーズナブルで販売している大手企業様も障害や介護の部門にも参加していただければ、世の中の約1/10の障害者や更に高齢者の方々の元にも、デザインもよくリーズナブルなものが手に届きやすくなり、その人の人生をいい方向に変えるのではないかと私は思います。

皆、老います。今の自分だけを考えるのではなく、老いたときにも地味なものではなく機能性はもちろん、デザインも多様に選べた方がいいと思いませんか。これから更により多くの企業様が参加してくれることを私は願います。