視覚障害者とファッション
主催・報告:筑波技術大学 佐々木 健
「視覚障害者とファッション」をテーマにイベントを実施しました。
詳細は次のとおりです。
1.日時
2024年11月3日(日)13:30~15:30
2.場所
すみだ産業会館9階第2会議室(丸井共同開発ビル、東京・錦糸町)
※広さ12m×8m、床面積80m²、定員40名(会場は満員で入れない人もいました)
※「第16回サイトワールド2024」のイベントとして実施
3.内容
- ファッションショー
- 点字刺繍・装飾した白杖・触れるTシャツ・触察教材の展示

(右下に黒い糸でサイトワールドと点字刺繍を施したハンカチ)

(音楽の鳴るブルートゥーススピーカーと共に、
装飾した白杖を使ってランウェイを歩くファッションモデル)

(視覚障害者がコスプレの衣装を触れて鑑賞)
4.対象者
このイベントはメインの参加対象者を視覚障害者として立案実施しました。特に視覚障害者でも全盲者(身体障害者福祉法1級、両側視力0.01以下)を中心としましたが、将来的には参加対象者を盲ろう者やろう者などへ拡大することも踏まえて実施しました。
ファッションモデル二人は全盲の女子大生で二人とも教員を目指しています。二人ともモデルの希望者として自主的に応募してきました。一人は「中途失明で光覚あり」、一人は「先天盲で光覚なし」です。
前者のAさんは視覚的に色を見えていた時のイメージで思い浮かべることができます、また色、例えば「赤」の内言(心の中での言語)は音声(心であか)で発音し「赤い視覚イメージ」が想起できます。後者のCさんは先天盲で見た経験がありませんので内言はAさんと同じ音声ですがイメージは視覚以外のイメージです。社会的な障害分類ではAさん、Cさんとも全盲と言われますが、先天/後天の違いはイベントの鑑賞する側にも言えることです。
更に「先天ろう」の人の場合、色の内言は視覚ですが音声言語ではないと推測されます。今回は全盲者を対象者にしましたが盲ろう者やろう者などの視覚・聴覚の障害者全体に拡大する取り組みは今後の課題としました。
5.目的
視覚障害者にファッションや衣服の情報を伝達すること。
6.方法
特に次の四方向から実施しました。
- 視覚的情報(服の種類、生地、色、柄、模様、姿、髪形、持ち物など)を音や言語(音声・要約筆記・手話)で行う方法。
- 触覚的情報(布の触感や質感、縫い目や形、点字刺繍、装飾した白杖、触察教材など)を直接衣服に触れて行う方法。
- 環境情報(部屋の大きさや形、観客席やランウェイ、展示衣服の置いてあるテーブルの場所など)を音や言語(音声・要約筆記・手話)やランウェイ体験歩行で確認すること。
- 文化情報(ファッションショー、コスプレなど)を上記❶❷の方法を組み込んだイベントとして文化体験すること。

(ピンクのライン)
作成者:筑波技術大学
