東京都は、2022年より、世界に羽ばたくファションデザイナーの育成のため、都内在住又は在学の学生を対象にファッションコンクール「NFDT」「SFDT」(注1)を行っています。

NFDTの一つの部門に、障害のある方も含め誰もが楽しめる服を生み出す「インクルーシブデザイン部門」があります。

2026年度の最終審査会・表彰式のご案内を頂いたので、取材させていただきました。

審査会は、2026年3月29日(日)、虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムの特設会場にて、二次審査通過者の作品がファッションショー形式で行われました。NFDT・SFDT両コンクールの応募者数約2000件ありました。

表彰式と合わせて、以下の公式サイトにて動画(Youtube)で紹介されています。

審査員など詳細は、同サイトをご参照ください。

審査委員長は、東京藝術大学学長日比野克彦氏、表彰式には小池百合子知事もご参加されました。

公式サイトhttps://nfdt.metro.tokyo.lg.jp/

以下、ショーにおけるインクルーシブデザイン部門の二次審査通過者の作品を紹介します。

写真は、すべて「東京都産業労働局提供」です。

図1 東京都知事賞 大賞
マックファーレン 七海/文化服装学院(作品名:Unbalanced beauty)
図1 東京都知事賞 大賞
マックファーレン 七海/文化服装学院(作品名:Unbalanced beauty)

先天性四肢障害を服全体にその特徴を取り入れ赤ラインで強調し隠さず個性として引き立て、手が不自由でも着脱しやすいように配慮、障害とファッションを一体化させ自信へと変えていく。

図2 東京都知事賞 優秀賞
井上 楓陽/東京モード学園(作品名:INVERSA)
図2 東京都知事賞 優秀賞
井上 楓陽/東京モード学園(作品名:INVERSA)

視覚に障害がある人も触れることでデザインを楽しめるよう、見た目と触り心地を配慮。作品により4wayから最大8way(服の上下ともリバーシブル、パンツ、コート以外は、フロントもバックも上下がなく、どちらからも着用できる)まで姿を変えることができ、合皮の力強さとサテンのつややかさをリバーシブルで楽しめる。

図3 東京都知事賞 優秀賞 および 特別選抜賞(※一般投票による審査)
若林 唯/文化服装学院(作品名:コルセット×ドレス)
図3 東京都知事賞 優秀賞 および 特別選抜賞(※一般投票による審査)
若林 唯/文化服装学院(作品名:コルセット×ドレス)

コルセット、頸椎カラー、姿勢矯正ベルトの機能を有しながら軽量ではなやかに、飾りや面ファスナーを変えることで様々な体型に配慮。コルセットは格好悪いから使いたくないという患者さんの声を聞いたことが製作の原点。

図4 大石如乃/エスモード・東京校(作品名:What's your dream?)

車いすユーザのレザージャケット、テーラードジャケット、ロングコートの要素を取り入れ、座った姿勢と動作を考慮。表面加工を施したウール生地で快適な着心地。本作品は車いすユーザと健常者、3人の夢を体現している。

図5 古川元太/目白ファッションアートカレッジ(作品名:呼吸する服)
図5 古川元太/目白ファッションアートカレッジ(作品名:呼吸する服)

体温管理が難しい方(脊髄損傷などで体温調節する自律神経が損傷された人など)や体調を言葉で伝えられない子供などを対象に製作。温度を可視化するニットウエアで、高温時には白く、低温時には色が現れる設計となっている。リバーシブル仕様で多様な着こなしか可能で、伸縮性があり、快適さと機動性を両立している。

図6 三井心寧/国際ファッション専門職大学(作品名:Thread Therapy)
図6 三井心寧/国際ファッション専門職大学(作品名:Thread Therapy)

不安や緊張を感じやすい方が日常の中でふと心を整えられる服をデザイン。抗不安薬の錠剤から得た丸いモチーフは、自由に取り外したり、つなぎ替えたりできる。モチーフを取り外す行為や、凹凸を撫でる行為が気持ちを落ち着かせ、小さなきっかけとなることを意図した。主に素材は温かく柔らかい毛糸を使用し、視覚と触覚の両面から安心感を届けることを目指した。

図7 李 俊勇/東京モード学園(作品名:Silent Message)
図7 李 俊勇/東京モード学園(作品名:Silent Message)

点字と横断歩道の点字ブロックを起点に視覚障害者の触覚的な世界を衣服として再構築。写真左端の作品は、点字による言葉とメッセージを表現すると同時に点字ブロックへとつながる要素を内包した起点として提示している。写真中央・右端の作品はそれを現実の空間へ展開し、歩行時に感じる不安や違和感を触覚的な認識を身体的な造形して表現した。

図8 皆川 空也/文化服装学院(作品名:Selectable)
図8 皆川 空也/文化服装学院(作品名:Selectable)

選択肢が与えられない現実に対し、選ぶという行為そのものに価値を見いだし、身体的制約や環境に制限されてきた人々にも服を通して主体的に選択する自由を届けたい。着る人それぞれの意思や状況に寄り添いながら機能と美しさを両立させ多様な選択を可能にする。これは服であり、選ぶ権利の再提示。

図9 NFDT(フリー部門とインクルーシブ部門)受賞者、審査委員長(後列左端)・副委員長(後列右端)、都知事(前列中央)
図9 NFDT(フリー部門とインクルーシブ部門)
受賞者、審査委員長(後列左端)・副委員長(後列右端)、都知事(前列中央)

注1:

「Next Fashion Designer of Tokyo(ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ)/NFDT」都内在住又は在学の学生を対象

「Sustainable Fashion Design Award(サステナブル ファッション デザイン アワード)/SFDA」学生やアマチュアデザイナーを対象に、着物の生地などを活かしたファッション 

公式サイト https://sfda.metro.tokyo.lg.jp/ 

取材(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所顧問 小野栄一、2026年3月29日)